目次
耐震設計の種類から
日本って地震が多い国なので、一般的には「耐震設計」という言葉は、誰でも馴染みのある言葉になっていますね。
1995年に起きた「阪神・淡路大震災」を機に、耐震設計の考え方が2段階に考えられるようになりました。
一次設計 | 二次設計 | |
地震の表現 | 稀に発生する地震力 | 極めて稀に発生する地震力 |
地震の大きさ | 中程度 | 最大級 |
発生頻度 | 数十年に一度程度 | 数百年に一度程度 |
目的 | 補修がいらないように | 人命が助かるように |
もちろん、阪神・淡路大震災は数百年に一度程度の方に該当する訳なのですが、この地震から30年も絶たないうちに、東北、熊本、北海道って大きな地震って・・・。
それだけ地震大国っていう事なんですね。
まずは、地震に対する構造の違いから。
耐震構造
地震に「耐」える構造。
耐えれらるように建築物を固くするんですね。
免震構造
地震から「免」れる構造。
次に書く、広い意味での制振構造の一種にもなるのですが、「基礎」の部分や「免震層」を設けて、地震から免れようとするものです。
制振構造
地震を「制振」・・・ん~っ、表現が難しいなぁ~。
「制振」自体の意味は、「振動を減衰される作用」の事。
今回の記事は、耐震計画の事ではなくて、その中の「制振構造」での揺れを吸収するものに使われている「鋼材」について書いてみたいのですが、せっかくここまで勉強したので、問題を1問っ。
一級建築士試験の平成25年度の問題より
耐震構造の建築物は、極めて稀に発生する地震に対して、倒壊・崩壊しないことが求められている。
制振構造と言えば・・・ダンパー
さきほど、広い意味では制振構造の中に免震構造が入ると書いたんですが、狭い意味での制振構造が建築士試験では出題されます。
なので、制振構造と言えば・・・ダンパー。
ダンパーも主に2タイプあって、そこからまたまたタイプが分かれて・・・要は、色々にタイプがあるってこと(笑)。
こんな問題が出題されました。
一級建築士試験の平成27年度の問題より
制振構造においては、履歴型ダンパーやオイルダンパー等の制振機構を設置することで、地震の入力エネルギーを制振機構に吸収させ、主架構の水平変形を抑制することができる。
そうそうっ、これは正しい枝で正解なんだけど、ちょこちょこダンパーの特徴みたいなのも出題されているので、問題集やテキストなどで確認しておくといいですね。
で、今回の記事は、近年そのダンパーに使われる鋼材の「建築構造用低降伏点鋼」
超建築構造用低降伏点鋼ってどんなの?
ハイチュウのようなソフトキャンディーのもう少し柔らかいものをイメージして、ん~っ!て引っ張ったら、案外簡単にびよ~んってなるような鋼材って感じかなっ(笑)。
って、ん~って引っ張る降伏点が低いのも特徴です。
ってことは、びょ~んっが早いからそれだけ地震エネルギーを効率的に吸収することが出来るので、制振ダンパーに利用されています。
なので、ダンパーに使うことで地震発生後には、復旧もしやすいし、柱や梁の構造体の損傷も防げるという優れものなんですね。
近年の建築士試験では、よく出題されているんですがどれも正しい枝で出題されています。
そして、今回のグラフは応力度が約100N/mm2のところでびよ~んってなっているもの(LY100)をわかりやすいように書いていますが、試験で出題されているのは応力度が約225N/mm2のLY225で出題されていますが、どちらも他の鋼材よりもびよ~んってなって、地震エネルギーを吸収してくれるとイメージするといいですね。
ひとつだけ、問題をやってみましょうかぁ~♪。
一級建築士試験の平成30年度の問題より
建築構造用低降伏点鋼材LY225は、一般構造用圧延鋼材SS400に比べて降伏点が低く、伸性が高いことから、履歴型制振ダンパーの材料に用いられる。
今までの過去の問題は、全て正しい枝で出題されているので、こちらも正しい枝となります。
まとめ
今回は、建築構造用低降伏点鋼材に焦点を絞って書いてみたんですが、鉄にちょっとしたものを混ぜてイイ感じにした「合金鋼」の出題は、他にも色々と近年はよく出題されています。
それぞれがどんなイイところがあるかを整理して覚えると覚えやすいかなぁ~♪。