目次
前回からの続きです
別表第3(い)欄及び(ろ)欄に掲げる地域、地区又は区域及び容積率の限度の区分に応じ、前面道路の反対側の境界線からの水平距離が同表(は)欄に掲げる距離以下の範囲内においては、当該部分から前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得たもの
今回は、この部分の話しをしていきますね。
試験問題の敷地の特徴
例えば「一戸建ての住宅」だったら…。
ひとつの道路の前に建築物が建っているこんなイメージかな?(個人的見解)
だけども二級建築士においても一級建築士でも高さを計算する時の敷地の特徴をあげてみると・・・。
- 用途地域がその敷地の中でまたがっている
- 道路がたいてい2方向(1つの道路の問題もありますが)
- 2方向なのにたまにその1方向は4m未満の道
- 敷地は矩形
- 奥行は道路に直角
- 敷地の中で高低差があることはすくない
- でも道路からの高低差はある場合がまあまあある
- たまに道路の向こう側に川や公園があったりする
まぁ、こんな感じで一筋縄ではいかないのが高さの計算問題なんですが、絶対に理解してしまったら楽しい(簡単っ♪)ので。
今回は道路が2方向の場合のおはなし
集団規定とは?
「集団規定」とやらを簡単に説明すると、「建築基準法第3章」を通称「集団規定」というんです。
それってどこやぁ~って思う人は、建築基準法の目次を開いて探してくださいね。
建築基準法は、全部で7つの章の法律が構成されています。
第3章の条文範囲
目次を開いてみると、第3章は建築基準法第41条の2から第68条の9までを指します。
そうしましたら、早速なんですが法41条の2を見てみましょう。
とても短い条文ですが、とても重要な条文です。
(適用区域)
第41条の2 この章(第8節を除く。)の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り、適用する。
この条文のほぼほぼ重要なんですっ!
第3章のイメージの仕方
「都市計画区域及び準都市計画区域に限り」の「に限り」がポイントなんです。
都市計画区域(準都市計画区域)自体は、建築基準法ではなく、都市計画法第5条(第5条の2)で指定される地域です。
・・・という事は・・・。
この建築基準法は当たり前ですが日本の法律です。ただこの第3章は日本の中の一部、つまり都市計画区域(準都市計画区域)にかかってくる法律なんです。
「都市を計画する」・・・という事は、インフラ整備が出来て(水道・電気など)、車の走りやすい道路があって・・・もちろんっ、お隣さんとかもいてて生活していると言った、便利なイメージをまずは持ってくださいね。
お隣さんがいてるという事は・・・。
いくら自分の土地だからと言っても、自分勝手に建物を建てては周りに迷惑がかかっちゃうから、秩序ある街並みの形成のためにも法律で制限をかけちゃうねっと言うのが、「集団規定」なんです。
なので、山奥で隣がないような場所で暮らしている人には、第3章は適用されないんです。
↑こういった所は、建築基準法第3章は適用されないです(笑)。
(はぁ~、説明が長くてごめんなさい・・・もう少しだけ・・・)
その「集団規定」をさらにイメージをしやすくするために「火事」を想像してみましょう!
集団で生活しているところが「火事」になっちゃうと「延焼」したら大変なことになります。
すぐに「消防車」が来てくれたら…。
集団規定の問題をする時は「消防士」さんの気持ちになろう(笑)!
やっと本題っ。
そうそうっ、「2方向に道路が接していたらどうするの?」の話しでしたね(苦笑)。
そんなイレギュラーなことがあれば「建築基準法第56条第6項」をチェックします。
そしたらこう定められています。
(簡単に言うと…)「イレギュラーな事は政令で定めてるからね
それだけかいっ!!!
と言う訳で「何かイレギュラーなこと」は、「建築基準法施行令第131条」からズラズラぁ~っと書いてあるので、「条文タイトル」を見ながらそれらしい条文を探していきます。
まぁ、ゆうても慣れてきて覚えちゃうんだけどね♪。
そしたら「令132条」で「2以上の前面道路がある場合」という条文があります。
建築基準法施行令第132条
(2以上の前面道路がある場合)
第132条 建築物の前面道路が2以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4メートル未満の前面道路にあつては、10メートルからその幅員の2分の1を減じた数値)以内で、かつ、35メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
3 前2項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。
上記の赤色と緑色の文字がポイントです。
基本的に「建築基準法施行令第131条」から書かれている内容は「緩和」ですっ!
つまり、「おまけ」だったり「サービス」なんです。
(この条文を簡単に言うと…)「この条件に合えば、接している道路は全て広い道路と同じ扱いにしてあげるから道路斜線での距離(L)が大きくとれるので、制限が緩くなるよ」っというもの。
その条件は2つっ!つまりはダブルチャンスなんです!
【チャンス1】広い道路から:2倍以内35メートル以内
【チャンス2】その他の道路から:中心から10m超え
【チャンス1】広い道路から:2倍以内35メートル以内
「2aかつ35」とか言ったりもするんですが、まず広い道路の幅員を2倍します。
例えば、8m道路だったら16mですね。
ただ、いつまでも2倍ではなく「かつ」と書いている35mが限度だよという事です。
その中の範囲に測定するA点が入っていれば、その他の道路も広い道路とみなすことができちゃいます♪
上記の斜線部分にA点が入っていれば、東の道路も広い15mとして道路斜線を計算してもいいと言う訳です。
でも、惜しくも斜線部分から外れてしまったアナタ!
もう、ワンチャンあるのでそちらに期待しましょう。
【チャンス2】その他の道路から:中心から10m超え
さっきは道路と敷地のきわきわのところから2倍したのですが、今度は「中心から」ですからね~。
しかも「以内」ではなく今度は「超えた」ところですのでその辺を意識して。
つまりは、上記の赤色で色付けした「ちょびっとした部分」にA点が入っていれば、それは広い道路としてみなせなく、上記の図でしたら12mで計算してくださいねっという事です。
雑にまとめると…。
まぁ~長くなりましたが、(ここだけの話し・・・)実はひとことでまとめることができるんです。
それは・・・。
「建築士試験においては100%に近いくらい広い道路になってるんです」
高さの計算問題が苦手な人って、道路斜線のここから検討せなあかんくて、よぉ~わからんわぁ~ってなるので、一層のことこの部分を飛ばして「もうなんかしらんけど広い道路になるねんっ」と思って計算すると、ラクチンです♪
二級建築士の試験では、100%広い道路だったんとちゃうかなぁ~。
一級建築士では、1回くらい広い道路にならんかったような記憶が…。
図にも書きましたが、「広い道路にならない部分」は「ちょびっと」だからね。
だけどね…。
過去に、一級建築士の「製図試験」でこの「ちょびっと部分」をちゃんと理解しておいたら良かったぁ~っていう問題が出題されました。
知り合いの2人は、残念ながら計画した建物が道路斜線が引っかかって…一番下のランクで不合格(泣)。
今後は、学科も引っかけてくるかもしれないので、ここは覚えておきましょう。
本当のまとめ
長くなりましたので、本当に今回の記事をまとめておきます。
①建築士ではなく消防士の気持ちになって集団規定の問題は考えよう
②イレギュラーな事は施行令131条~探してみよう
③ダブルチャンスを生かして広い道路になるか検討してみよう